草津温泉@2014年1月11日~13日(2, 滋養の宿 橅)

こちらの宿は、2年少し前にオープンした新しいところで、元々は別荘のようなところだったみたいなのですが、それを現オーナーが買い取って、改装し、オープンしたんだそうです。

オーナーは前橋市出身の2名の女性で、退職金を元手に開いたとか。元々、旅行業でも飲食業でもないそうで、こういう旅館をやるのに憧れていたんだそうです。

IMG_20140111_154934

退職後に半ば趣味で始めた旅館なので、あまり商売っ気がなく、開店後のしばらくは2食付きで7000円台と気前の良い値段でした。これは草津だと素泊まりの料金に近く、これで儲かるのか?とも思っていました。

IMG_20140111_163434

ようやく値段を上げてきたようで、今だと9450円(土日・一人泊)になりました。まあ、それでもここの内容を考えると悪くないかと。2人でまわしている旅館なので扱える人数に限りがあって、最大でも15人くらいしか受け入れない、ってのもなかなか通好みな宿です。この日は、5人の宿泊でした。

IMG_20140111_163442

まずは、温泉から。風呂場は2つあり、どちらも同じ源泉で、隣り合わせになっている形です。一つ目は「タイルのおふろ」です。

IMG_20140111_164717

中は、どちらもあまり変わりません。

IMG_20140111_164726

源泉は「湯川の湯」という草津ではややマイナーな源泉です。PH2.3は草津の中では酸が弱めの部類です。比較的おだやかな「綿の湯」でもPH2.1だから、それよりもさらに弱めかな。

IMG_20140111_164737

湯船が名前通り「タイル」で出来ています。また、温度を保持するためにシートがひかれているので、これをどけて入ります。

IMG_20140111_164916

もう一方は、「木のおふろ」。こちらもシートがかかっているものをどけて入ります。

IMG_20140111_230727

ここのお湯は源泉の温度が低いらしく(成分表には32.8度と書いてありました)、加温する必要があるために保温シートをかけているようです。一般的な温泉ですと、お湯の出る量を増やすと温度が高くなりますが、ここの場合は逆で、お湯の量を増やすと温度が下がってしまうのです。 一般に、源泉の温度が40度超であるならば、お湯を引いてくる途中経路で自然に冷却させて流す(いわゆる源泉掛け流しといわれるもの)ようにするか、加水して温度を下げます。 しかし、源泉の温度が30度台、もしくはそれ以下の場合は、途中で加温する必要があります。加温するための釜の能力は一定であるため、引き湯しているお湯の量を増し過ぎると加温不足になり、お湯の量を減らすと加温過多になってしまうのです。

IMG_20140111_230905

強酸性である草津のお湯を加温するための仕組みはやや複雑で、通常なら鉄製のパイプを直接ガスで加熱するのですが、強酸性のお湯をパイプに通すと穴が空いてしまうため、ガスで鉄製のパイプを暖め、その中に入ったオイルによって間接的に特殊なパイプ(おそらく塩化ビニルの類い)を加温するような仕組みになっているんだとか。これがかなり特殊な仕様で、ここにすごいコストがかかってしまったのだそうです。

(続)